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  2. 産業医制度の概要について

産業医への転職を検討する前に、改めて知っておきたいのが「現行で産業医制度はどうなっているのか」という内容です。
後になってから「それは知りませんでした」と言う事はできないため、できれば基本的な点は全て押さえておきたいところ。
全てをお伝えするのは難しいというところで、要点を少し簡単にまとめてみました。

現在の産業医制度


今現在、国内の産業医制度は、大きく分けると産業医の選任義務、産業医の職務、産業医の権能という3点が大きなポイントとなっています。
一定以上の事業場では産業医を選任する義務があること、産業医が行わなければいけない職務内容に関して、産業医は業務に応じてどのような事を行う権利能力をもっているのか、産業医制度ではこの3点を中心に様々な内容がまとめられています。

産業医の選任状況について


事業者は、事業所に所属する労働者が一定数を超えている場合には、労働安全衛生法によって定められた規定を元に、産業医を選任しなければいけませんが、これは全ての事業所によって正確に守られているわけではありません。
むしろ、事業所の規模が小規模となるほど、適切な対応を行う事業所が少ないというデータが出ています。

例えば、事業所規模が5000人を超えるところでは、定期健康診断を実施した事業所の割合は100%であり、産業医等を選任している事業所の割合も100%とされています。
しかし、例えば50人から99人規模の事業所では、80%弱となっているのです。
規模が大きくなるにつれて割合が低下しているといった選任の状況が調査によって明らかとされています。

面接指導や健康相談等の体制に関する現在の規定


面接指導や、健康相談などに関する現在の規定について、ここで少し簡潔にまとめておきたいと思います。

・産業医による面接指導に関して


月に100時間を超える時間外労働及び休日労働をさせる事業場、あるいはそのような恐れがある場合には労働者が自身の時間を確認できる仕組みを整備すること、申し出をおこなうための体制を整備すること、労働者に体制を周知するという3点を取りはからうようにと定められており、この内容については衛生委員会などで審議を行わなければいけません。
そういった体制下において、100時間を超える時間外・休日労働をおこなった労働者、あるいはストレスチェックによって高いストレスを持っていると選定された労働者の内、面接指導を受ける必要があると認められたものが産業医によって面接指導を受けるものと規定されています。
また、健康診断などによって措置が必要と認められた労働者に関しては、医師または保健師が指導を行うこととしています。

海外の産業医制度の現状


参考情報としては、ドイツ及びフランスに関してのものが一般的な情報として公表されていますが、その内容を確認してみると、どちらの国の場合も選任義務があるのは日本と同様です。
しかし、小規模の事業状であっても例外なく選任という点はチェックしておきたいところです。

具体的な職務等に関しては、どちらの場合も一般診療は行わないこととしており、あくまでも健康診断や事業場の巡視、事業者への助言などが主なものとなっており、基本的には事業者より指揮命令を受けず、独立した形で業務が行われるものとされています。

また、日本と大きく異なる点としては、医師免許の他、ドイツの場合には最大2年程度の臨床研修を行う事、フランスでは4年間もの専門教育を受ける必要があるという点です。
海外の産業医制度と日本の産業医制度とを比較すると、やはり異なる点が多々あり、国によって産業医に求められる役割が異なっていることが分かります。




平成28年に、産業医制度の在り方に関する検討会というものがあり、その結果の報告がなされました。
その内容に基づき、産業医制度に関しては平成29年の6月1日より内容が改正とされていますが、産業医への転職を考えている皆さんは、この事実についてご存じでしょうか。

施行からはまだそれほど時間が経っていないこともあり、詳しい内容についてはあまりご存じでない方も多いと思います。
この改正内容は、変わっていく社会情勢に産業医の役割を合わせていくような位置付けのものでありますが、その内容は大きく3点にわけることができます。
そこで、今回は各ポイントに関する改正前後の内容に触れながら、ご紹介してみたいと思います。

改正点① 健康診断の事後措置に必要な情報の提供を行う


従来の制度では、健康診断の結果、必要がある場合には事業者が医師などより意見を聴取することとされておりますが、今回の改正により「労働者の業務に関して、措置を講じるために必要な情報を医師より求められた場合には、事業者は情報を提供する義務」が生じるようになりました。

改正点② 長時間労働者に関する情報の提供を行う


以前では、週40時間を超えて労働した時間が、1ヶ月あたり100時間を超えている労働者に対して、労働者より申し出があった場合には、医師が健康相談、面接指導を行うこととしていますが、この点に関しても改正が行われました。
改正後の内容では、労働者を守る内容となっており、労働者より申し出を行わずとも、1ヶ月あたりの時間外労働が100時間を超えている労働者に関する情報を、産業医に対して開示提供しなければいけないものとしています。




改正点③ 定期巡視等産業医の情報収集の見直し


産業医は事業場を少なくとも月に1度は巡回し、労働者の健康障害が起きることのないよう、適切な措置を講ずることとされているのが従来の制度ですが、改正された内容によると、月に1回行うための巡回に関して、変更が行われています。

その改正内容では、特定の条件を満たした場合に限り、少なくとも月に1回程度は巡回を行わなければいけなかったものが、2ヶ月に1回でも可とすることができます。
その条件は「事業場より、産業医に対して必要な情報が毎月1度は提供されている」ことですが、その情報の要点としては大きく分けて2つあります。

1つは事業場の衛生管理者が週に1度行う作業場などの巡回結果について、もう1つは衛生委員会などで審議を行った結果、産業医に対して情報を提供すると取り決めたもの、です。

この上記2点に関する情報が、適切に産業医に対して提供されていれば、従来よりも事業場を訪れる頻度を低下させることが可能となるのです(事業者の同意は必要となります)。

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